PDCAを活かすために、まずリセットから。
PDCA回してますか?
「仕事というものは、常にPDCAを意識してやるんだぞ!」。社会人になった時、メンター役の先輩からまず言われた言葉だ。しかし、その先輩も上司から「PDCAをしっかり回せば、同じ間違いはしないぞ!」と言われていたことも事実だ。笑い話のようだが本当の話。
全業種に浸透していると言って良い「PDCA」は、GHQの招聘で来日した米国統計学者W.E.デミング博士によって指導された統計的品質管理手法で、その後日本の製造業の品質を支えるQC活動の原動力になったことはご存知の方も多いだろう。そして、80年代には品質の高さで世界を席巻したことで、PDCAの考え方が製造業以外にも広がったと言われている。
今日、開発の経緯やその体系とは無関係に、「PDCA」は計画〜実行〜検証〜改善サイクルの略語として認知され、サイクルを回すことが目的化しているように感じる。
では、どうすればPDCAサイクルを仕事に活かせるのだろうか?
デミング博士の考え方によると、この考え方は、元々品質に影響を与える要因を管理できる「一般要因」と管理できない「特定要因」に分けて、管理できる「一般要因」を好ましい状態に制御しようというものだ。要するに「分けて」から「制御する」という手順である。
それに倣えば、改善すべき事柄を「成果につながる」ものと「成果につながりにくいもの」に分けて、検証してから、どう改善すれば良いかを多角的に考える必要があるのではないだろか。
具体的なやり方はどうしたら良いだろうか?
考え方としては、PDCAではなく、CAPDという順番で進めるのはどうだろうか?
手順としては、
検証(C)・・・過去を振り返り、事実情報を集める。そこから何が活かせるか評価する。
改善(A)・・・評価したものに優先順位をつける。今取り組むべきことから改善策を考える。
計画(P)・・・改善策を手順化し、スケジュールに落とし込む、併せて役割分担を行う。費用やリスクも検討する。
実行(D)・・・実行に移してみる。実行しながら検証し微調整を試みる。
といったことだ。
この手順をチームで実践するためには、率直に自分の意見を言う・素直に他者の意見を聴くといったコミュニケーションの基本がまずベースとなるだろう。これが最近話題となっている「心理的安全性」につながるのだ。
まずは仕事を通じて感じること考えていることをチーム内で交換し、次に何をすれば良いか話し合うのは如何だろう。そして行動に移してからその結果について意見交換する。これを繰り返せばいい。その時PDCAは考え方から「道具」になったということができる。